ヒマラヤ最古の仏教寺院へ。
ヒマラヤ最古の仏教寺院:スワランブナート:へ。
カトマンズ西郊約2km、緑に包まれた丘の頂上にそびえており街を一望できる。
「コマール先生、撮っていいー?」の一言に、ダンディズム漂うポーズ。
今日散歩するのは、仏教寺院。
コマールさんに「仏教ですか?ヒンドゥー教徒ですか?」と聞くと、
「僕はヒンドゥー教だけど、仏教寺院にも来るよ。」と言う。
さらに、コマールさんはこんな事も言っていた。
「僕は、ヒンドゥー教だけど、海外に行ったら仏教徒っていうんだ。
海外の人の見る目が変わるからね。ヒンドゥー教徒は嫌がられるんだ。」
教徒の違いで差別を受けるのは、欧米/アメリカに行くと明らかのようで、
信仰している教徒に対して自分を背けていくのは柔軟なのか?
海外に出た時の諸詐術なのか?
親から引き継いだ教徒を守らざるを得ないが差別も受けるのは困る?という
彼の率直な気持ちなのか・・・
無宗教徒の僕には、理解したくても理解しえない所にいるのは明らかだった。
階段を1段ずつ上がって行くと、ブッダの様相や仏教の教えを説いた雑貨類が目をひく。
この階段は、全部で365段。1段1段の階段は、1日1日を意味している。
この階段を全て上ると去年自分が背負った罪悪感を洗い流してくれるという伝説がある。
僕は、去年を走馬灯の振り返りながら参道の石段を1歩1歩ゆっくり上った。
隣で話しかけてくるコマールさんに耳を傾けないで...。
参道の石段を駆け上がり、スワヤンブナートから眺めるカトマンズ盆地。
ネパールの首都:カトマンズは山々に囲まれた盆地にある。
写真でみえる街は、全て首都カトマンズの街。
昔、この地域一帯は「湖」だったという伝説が残っているらしい。
この伝説では、人々の間でこう語り継がれている。
「 太古、神々の住わすヒマラヤの麓に、青空を映して輝く湖があった。
その湖の真ん中に咲く蓮華の花々から、あるとき大日如来(仏様)が姿を現した。
チベットを経て、インドへ帰国しようとした文殊菩薩は、
大日如来に敬意を払おうとこの湖に立ち寄った。
ちょうどその頃、この土地に住む人々は、湖の主:大蛇の悪行に苦しめられていた。
文殊菩薩は、この状況を不運に思い、携えていた利剣で山を切り開いたと言われる。
そのおかげで、怪物は湖水と共に消え去り、人々が再び住める肥沃な土地、
カトマンズ盆地が残ったと言われている。」
それが、今の時代へつながる伝説らしい。
近年の地質学者が研究したところ「山が崩壊し、この地域の水系が激変した」と
科学的にもこの伝説は証明されたらしい。
コマールさんが言うには、
この境内を歩く時には、ストゥーパ(塔)を時計回り(右回り)に歩く。仏教経典には、ブッダに対して弟子が時計回りに歩くのが『尊敬の念を表す』とされていて、原始仏教以来の作法らしい。
写真に映っている人々は、偶然か必然か反時計回りに歩いている。
きっとブッダに対して、背を背けている人々なんだろう....真偽は分からないが。
帰る途中、親指にオイルを塗られて関節や筋組織の治療を受けている男性がいた。
僕も仕事柄、このような関節、筋・軟部組織に関わったリハビリの仕事をしていたので
興味があって、その場で立ちつくして約5分間ほどみていた。
治療が終わると、「どんな事を行なっていたのか?特別な手技なのか?」と聞こうとした。
治療をうけていた男性はしきりに、
「good...good...good...」と小さい声で連呼する。
コマールさんが、近くの木での立ちションベンを終えて僕の方にやってきた。
コマールさんに、ネパール語で施術者に
「どんな治療を行なっているのか?」を聞いてもらった。
「△*+〜|$%!..............」
良く分からないネパール語で話しが続く。。
「×`>△×◎&><............」
ここはヒマラヤ最古の仏教寺院。
よほど、特別な治療をやっているのだろうと期待した。
長い話しが終わって、コマールさんが僕に一言。待ってました。
「ただのマッサージみたいです。」
「・・・・・・??????・・・マッサージ?
んじゃあ長い間何を話していたんですか?」
「いや、なにも。
僕の友達なんで最近の息子さんの様子とか。
赤ちゃんが最近生まれたみたいで。
母乳で育ててるみたいです。
どうかしましたか?」
ここは、ヒマラヤ最古の仏教寺院。
今日のこんな一日の様子も、
天の上からブッダ様が見てくださっているに違いないな。